海の底から司法試験

都内大学生による司法試験合格に向けた勉強の備忘録

令和元年口述刑事 再現

質 問(主査・副査の動向) 回 答 内心の動き
今から事案を読み上げますのでよく聞いてください。甲と乙は飲食店で働いていますが、ある日客のAの態度が悪かったことに腹を立て外に出たAに対して、意思を通じた上で、甲はAの腹部に暴行を加え、乙はAの頭部に暴行を加えました。Aはこれにより硬膜下血腫の傷害を負いました。甲と乙はどのような罪責を負いますか。 乙には傷害罪が成立し、暴行罪の限度で共同正犯となり、甲には暴行罪が成立します。 財産犯じゃないの!?Aの障害は乙の暴行から生じたわけね…。
ん…?(答えを繰り返される) あ、甲は暴行罪の共同正犯です。 え、間違えてるか。
意思を通じてるんだよ? すみません。傷害罪の共同正犯です。 ああ…なんでこんなミスしてるんだ。。やばい(ここから極度の混乱状態に陥ります)
事案を変えます。通行人丙は甲と乙が暴行を加えた後、甲乙と意思を通じずに、うずくまっているAに対して暴行を加えた。Aは傷害を負ったが、Aの傷害は甲乙丙のいずれの暴行から生じたのかは不明だった。丙はいかなる罪責を負いますか。 丙には傷害罪が成立します。 207の事例のはず
意思を通じてないのに傷害罪が成立するの? 同時傷害の特例が適用されるからです。
何条? 207条です。 これは大丈夫
207条の趣旨は何? えーと、同一の機会に暴行が加えられた場合にいずれの暴行から結果が生じた場合でも共犯関係があるのと同様に考えて傷害結果の帰責することにあります。 趣旨!?判例が言ってた気がするけど、覚えてないよ。。
うーん(笑)要件と趣旨が混ざってるな はい。。 同一の機会の部分だな。。。
207っていずれの暴行から結果が生じたのかわからない場合に適用されると思うんだけど、本件では甲乙の暴行から結果が生じたことは判明してるよね?それでも適用していいの? たしかにそうですが…丙も暴行に加功している以上、なおいずれの暴行から生じたのかわからないといえると…思います。 まあたしかに。。でもこれは適用されるやつだよね。28年判例もそんなようなことを言ってた気がする。でも曖昧なこと言えないし。。
ふうん。さっき、同一の機会って言ったけど、本件では同一の機会といえるの。 いえます。 これはいえるはず。
あてはめてみて。 はい、本件で丙が暴行をしたのは甲乙が暴行をした直後でありますので…時間的場所的接着性がありますので、同一の機会があるといえます。 時間的場所的接着性でいいのか?
では、甲乙丙の暴行によりAが死亡した場合は丙は何の罪責を負いますか。 傷害致死罪です。 致死への適用
でも、条文には「傷害した」って書いてあるのに致死に適用していいの? いえ、致死への適用はありません。 これが28年の判例って教えてもらったからな。
ん?でも傷害致死は成立するんでしょ。 はい、傷害罪に適用される結果として、結果的加重犯としての傷害致死罪も成立します。 え?教えてもらったやつは通じないやつ?
それは致死への適用を認めてるのと同じじゃん(笑) そうですね。。 そうだったの!?もうわけわからんな。
さっきさ、事後強盗の話してくれたけど、強制性交等致死罪とか強盗致死罪への適用はあるの。 ありません。 これはテキストに書いてあった。
なんで? そのような罪は他の法益も含んでいるからです。
強制性交等致死は人の身体を守ってるじゃん(笑) えっ、でも…そうですよね。。えーとでも暴行から生じてないので。。。 ええ、どうしたらいいの???
暴行から生じてるじゃん(笑) そうですね。。。 (混乱)
(数秒沈黙)さっき他の法益って言ったけど、強制性交等致死の保護法益ってなに。 えーと、人の…人の性的自由です! これは助け船だ!じゃあ他の法益も含むであってるじゃん。泥船多いよ泣
じゃあ、事案を変えて、甲乙が暴行を加えた後、丙は意思を通じてAに暴行を加え、Aは傷害を負いました。丙はどんな罪責を負いますか。 暴行罪です。 承継的共同正犯だ。
暴行罪でいいですか。今回は意思を通じているので、承継的共同正犯が問題となると思うんですけど、今回は成立しないんですか。 成立しません 因果性及んでないよな。
あなたは承継的共同正犯についてどのように考えてる? 他の共犯者が引き起こした法益侵害との因果性を有している場合には承継的共同正犯となります。
んん?どういうこと? ええと、共謀前の先行行為を利用しなければ結果が生じない場合に共同正犯になるということです。 やばい、また通じない。。
先行行為を利用しないと…?え? 本件では先行行為たる甲乙の暴行を利用しなくとも傷害結果は生じますので、共同正犯にはなりません。 これも通じないのか。。
でもさ、Aは甲乙に暴行されたことで座り込んでいるから、丙はその状態を利用したとはいえない? たしかにそうとも思えますが…、座り込んだというのは暴行から生じた傷害そのものではないので、利用したとはいえないと思います。 裁判所はそういう風には考えてないよな。
じゃあ、結局どうなる? 先行行為から生じた結果を利用しなくともAには傷害結果が生じるので、先行行為は丙に帰責されません。 さっきと同じ説明しかできんぞ…?
もう一度確認しますが、本件では何罪が成立する? えと、暴行罪です。
でもさあ、なんか全体を評価して傷害結果を帰責できないの? あ、、同時傷害の特例が適用されます。 !!!そうだ、忘れてた。。。
本件で適用できるの? できます!
でもさあ、207って共犯関係がない時の規定じゃん。 たしかにそうですが、共犯関係がない時にも適用されることとの均衡から、共犯関係があるときにも適用されます。 この説明しかできない
そうだね。じゃあパネルをめくってください。甲は傷害致死罪で起訴されました。裁判所は甲がAの頭部を殴り、乙が腹部を殴ったとの心証を抱きました。裁判所はどうするべきですか。 えーと。 これは、訴因変更について聞かれるやつだ。。。訴因変更の要否だけど、よくわからん。
訴因変更を促すってことだよね。根拠条文はありますか。 刑事訴訟規則208条1項です。 こういう勉強はしてきたから答えられるんだよなあ。
刑事訴訟法にはありませんか。 えーと、、訴因変更を命じる、、 え、ちがうってことか。
訴因変更命令の条文はあるけどさ、そうじゃなくて一般的にこれこれしてくださいっていう条文ない? えーと、訴訟指揮権だと思います。。
何条? 294条です。 これも覚えてる。
はい。訴因変更をすべきかどうかは一般的にどのように考えますか。 まず、罪となるべき事実の画定に必要な事実に変化があれば変更が必要になります。それ以外の事実でも、被告人の防御のために重要で、かつ訴因に明示されている場合は訴因変更が必要です。しかし、被告人にとって不意打ちとならないのであれば変更は必要はありません。 判例の規範だいたい答えるしかない。
はい、では今回はどうですか。 どこを殴ったかは実行行為であって、それは罪となるべき事実の画定に必要ではありません。そして、どっちがどこを殴ったかということは… 自信ない
でも、頭の傷害によって死亡してるんだよ? あっ、はい、それなら被告人の防御にとって重要な事実なので訴因変更が必要となります。 そうなんだ。よくわからん。
では、裁判所は丙が共謀したとの心証を抱かず、同時傷害の特例が適用されるとの判断をしました。訴因変更は必要ですか。 えーと、60条と207条のどちらが適用されても共犯関係になることには変わりはないので罪となるべき事実の画定に必要ないので…
え、共謀と同時傷害はどっちが大きい丸なのさ えーと マル!?????何の話だ、意味が分からん、どっちもほぼ同じじゃないのか。
共謀の方が重いからさ、小さい丸だとするとさあ、 そ、そうですね、共謀を認定した方が被告人の防御にとって利益になるので。。 !!縮小認定の話か。だとしてもよくわからん。。
え??なんか混乱してない? え、えーと、どちらか小さいとか、なんというか、同じようにしか思えないのですが。。。 もう正直に言おう。
そうですか。以上です。 えっ……ありがとうございました。 えっ、おわり???打ち切りじゃん。終わったな。。。


(今見返してみての感想)
まず、成立する犯罪を間違えるのはありえないですよね。これでできないやつ認定されて追求が強くなったんだと思います。
あと、承継的共同正犯のところと207条のところは最近になって理解しました。主査の反応もうなづけます。
ただ、最後の縮小認定のところは今聞かれたとしても落ち着いて答えられる自信がありません。

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